[ 特集 ]
【豊田】四季折々の景色が楽しめる庭園で癒されながら、「豊田市民芸館」の美しい民芸を愛でる。
矢作川が流れ、緑豊かな自然に囲まれた平戸橋公園内にある「豊田市民芸館」。日常的に使われている手工芸品「民芸」に触れることができる施設です。
また、春には桜、秋には紅葉などの四季折々の景色が楽しめる庭園が広がっているので、平戸橋公園内を散策するだけでも心が癒されますよ。歴史ある施設の建物自体にも注目です!
CONTENTS
「豊田市民芸館」とは
今回は、豊田市民芸館の岩間さんに、施設内を案内していただきました!
– まずは豊田市民芸館の概要についてお聞かせください。
岩間さん:「豊田市民芸館は、おもに民芸資料の展示と、さまざまなものづくりが体験できる講座を開催している施設です。
敷地内の第1・第2民芸館では企画展が開催されており、第3民芸館は常設の展示となっています。また、ものづくりの講座が開催されている工房と穴窯があります。
そのほかにも、庭園を眺めながら抹茶と和菓子が楽しめる茶室「勘桜亭」、明治時代の建物である旧井上家住宅西洋館が立ち並びます。」
– 民藝とはどのような意味なのでしょうか?
岩間さん:「民藝という言葉は、民藝運動を提唱した柳宗悦によってつくられました。作家やつくられた時代、希少価値に関係なく、民衆が日常的に使う道具の中にも美しさが宿っているという概念から生まれた言葉です。」
– 豊田市民芸館が開館されたのはいつなのでしょうか?
岩間さん:「1936年、東京・駒場に柳宗悦が建てた日本民藝館の増改築に伴い、ただ解体するのでは惜しいという思いから、当時の名古屋民藝協会会長を務めていた本多静雄の援助によって、建物の一部がこの地に移築されました。
そして1981年、豊田市によって整備されて完成した第1民芸館が、豊田市民芸館の始まりです。」
– 庭園の見どころを教えてください。
岩間さん:「春は桜、秋は紅葉、夏には新緑を楽しむことができます。とくに紅葉シーズンの雨の日はおすすめですよ。雨に濡れた石畳に紅葉の赤色が反射する景色や、石畳に散った紅葉の葉が雨に濡れてキラキラと光る様子がとても美しいのです。民芸館にある勘八峡には、紅葉に色づく木が、約150本植えられています。」
繊細で美しい民芸にうっとり。
第1〜第3民芸館をご紹介!
まずは、豊田市民芸館のメイン会場である、民芸資料が展示されている第1〜第3民芸館を案内していただきました。
第1・第2民芸館
第1、第2民芸館では、企画展が定期的に開催されています。展示物はもちろん、建物自体にも歴史とこだわりが感じられるのも大きな魅力です。とくに、豊田市民芸館の始まりである第1民芸館は、柳宗悦の美へのこだわりが詰まった建物なのだそう。
第1民芸館の床材に使われているのは大谷石。関東地方では、おもに塀や壁に使用されているものですが、第1民芸館では床材として採用されています。
また、館内中央に設置されているペンダントライトは、柳宗悦によってデザインされたもの。六角形のランプのシェードは、すべて異なる模様でデザインされており、平らなカピス貝が用いられています。
館内の奥では、柳宗悦が東京の日本民藝館で使用していた書斎が公開されています。
第2民芸館は、1985年に建設された建物です。第1民芸館とともに、企画展が開催されています。
第3民芸館
第3民芸館は、常設の展示がおこなわれている施設です。広い敷地を利用して、企画展、夏休み期間中のイベント、糸紡ぎ手織り講座が開催されているスペースもあります。
常設展示では、家具と焼き物の民芸が展示されており、どなたでも自由に観覧できます。
岩間さんのおすすめは、受付でホットコーヒーを注文し、窓側にある囲炉裏のあるスペースで、庭園を眺めながらゆったりと休憩すること。心が浄化されていくような気分になれますよ。
中庭を眺めながら抹茶が堪能できる
茶室「勘桜亭」
企画展が開催中の土日祝日は、敷地内にある茶室「勘桜亭」で抹茶と和菓子が楽しめます。大きな窓から陽の光が差し込み、開放的で落ち着いた雰囲気。窓からは美しい中庭が望めます。
テーブルと椅子を用いてお茶をいただく「立礼式」という作法なので、気軽に参加しやすいのも嬉しいポイント。
秋には葉が紅く染まり、紅葉の景色が楽しめるとのことです。散策の休憩に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
実際に地域で盛んに行われてきた民芸に触れよう!
豊田市民芸館では、実際にものづくりの魅力・地域の手仕事に触れられるように、さまざまな講座が開かれています。
こちらは、猿投古窯を復元した穴窯陶芸講座が行われている穴窯。猿投古窯とは、古墳〜平安時代、猿投山麓西南部で盛んに作られていた焼き物です。
こちらの穴窯は、平安時代に豊田市高崎町で使われていた古窯を当館に移築し、整備されたものだそう。内部は、火が回りやすいように階段上に形成されています。
薪で三日三晩火を焚き、じっくりと焼き上げる本格的な陶芸が体験できますよ!
工房では、ガス窯陶芸講座、絞り染め・藍染め講座、とんぼ(ガラス工芸)講座などの講座が開催されています。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
▼2024年度の民芸館講座の詳細はこちら
https://www.mingeikan.toyota.aichi.jp/cms/wp-content/uploads/2024/02/豊田市民芸館講座2024年.pdf
市内唯一!明治時代の洋風建築物
「旧井上家住宅西洋館」
「旧井上家住宅西洋館」は、明治時代に建築された建物です。名古屋市博覧会の迎賓館や銀行として使用された後、井上農場へ移築。農場では迎賓館や住居として使用されていました。1989年に豊田市民芸館へと移築され、2000年には国の登録有形文化財として登録されています。
外壁には、カブを連想させる窓枠が見られます。建物が銀行にも使われていたことから「株が上がる」という意味が込められているそうです。
また、屋根瓦に彫られている「水」という字は、火除けの意味が込められているそう。現代の建築物ではなかなか見られない面白い装飾が見られます。
民芸はもちろん、歴史ある建築物や四季折々の景色が楽しめる庭園が広がる豊田市民芸館。園内を散策しながら、美しい民芸に触れてみてはいかがでしょうか。
※掲載情報は取材時のものになります。
最新情報は、対象施設・店舗の公式ホームぺージ等でご確認ください。
「豊田市民芸館」とは
[caption id="attachment_7582" align="alignnone" width="1024"] 明るい笑顔が素敵な豊田市民芸館の岩間千秋さん。[/caption] 今回は、豊田市民芸館の岩間さんに、施設内を案内していただきました! - まずは豊田市民芸館の概要についてお聞かせください。 岩間さん:「豊田市民芸館は、おもに民芸資料の展示と、さまざまなものづくりが体験できる講座を開催している施設です。 敷地内の第1・第2民芸館では企画展が開催されており、第3民芸館は常設の展示となっています。また、ものづくりの講座が開催されている工房と穴窯があります。 そのほかにも、庭園を眺めながら抹茶と和菓子が楽しめる茶室「勘桜亭」、明治時代の建物である旧井上家住宅西洋館が立ち並びます。」 [caption id="attachment_7606" align="alignnone" width="1024"] 日常的に使われている「道具」が展示されています。[/caption] - 民藝とはどのような意味なのでしょうか? 岩間さん:「民藝という言葉は、民藝運動を提唱した柳宗悦によってつくられました。作家やつくられた時代、希少価値に関係なく、民衆が日常的に使う道具の中にも美しさが宿っているという概念から生まれた言葉です。」 - 豊田市民芸館が開館されたのはいつなのでしょうか? 岩間さん:「1936年、東京・駒場に柳宗悦が建てた日本民藝館の増改築に伴い、ただ解体するのでは惜しいという思いから、当時の名古屋民藝協会会長を務めていた本多静雄の援助によって、建物の一部がこの地に移築されました。 そして1981年、豊田市によって整備されて完成した第1民芸館が、豊田市民芸館の始まりです。」 [caption id="attachment_7583" align="alignnone" width="1024"] 紅葉の時期の庭園の様子。[/caption] - 庭園の見どころを教えてください。 岩間さん:「春は桜、秋は紅葉、夏には新緑を楽しむことができます。とくに紅葉シーズンの雨の日はおすすめですよ。雨に濡れた石畳に紅葉の赤色が反射する景色や、石畳に散った紅葉の葉が雨に濡れてキラキラと光る様子がとても美しいのです。民芸館にある勘八峡には、紅葉に色づく木が、約150本植えられています。」繊細で美しい民芸にうっとり。 第1〜第3民芸館をご紹介!
まずは、豊田市民芸館のメイン会場である、民芸資料が展示されている第1〜第3民芸館を案内していただきました。第1・第2民芸館
[caption id="attachment_7588" align="alignnone" width="1024"] 第1民芸館[/caption] 第1、第2民芸館では、企画展が定期的に開催されています。展示物はもちろん、建物自体にも歴史とこだわりが感じられるのも大きな魅力です。とくに、豊田市民芸館の始まりである第1民芸館は、柳宗悦の美へのこだわりが詰まった建物なのだそう。 第1民芸館の床材に使われているのは大谷石。関東地方では、おもに塀や壁に使用されているものですが、第1民芸館では床材として採用されています。 また、館内中央に設置されているペンダントライトは、柳宗悦によってデザインされたもの。六角形のランプのシェードは、すべて異なる模様でデザインされており、平らなカピス貝が用いられています。 館内の奥では、柳宗悦が東京の日本民藝館で使用していた書斎が公開されています。 [caption id="attachment_7585" align="alignnone" width="1024"] 第2民芸館[/caption] 第2民芸館は、1985年に建設された建物です。第1民芸館とともに、企画展が開催されています。第3民芸館
第3民芸館は、常設の展示がおこなわれている施設です。広い敷地を利用して、企画展、夏休み期間中のイベント、糸紡ぎ手織り講座が開催されているスペースもあります。 常設展示では、家具と焼き物の民芸が展示されており、どなたでも自由に観覧できます。 岩間さんのおすすめは、受付でホットコーヒーを注文し、窓側にある囲炉裏のあるスペースで、庭園を眺めながらゆったりと休憩すること。心が浄化されていくような気分になれますよ。中庭を眺めながら抹茶が堪能できる 茶室「勘桜亭」
企画展が開催中の土日祝日は、敷地内にある茶室「勘桜亭」で抹茶と和菓子が楽しめます。大きな窓から陽の光が差し込み、開放的で落ち着いた雰囲気。窓からは美しい中庭が望めます。 テーブルと椅子を用いてお茶をいただく「立礼式」という作法なので、気軽に参加しやすいのも嬉しいポイント。 秋には葉が紅く染まり、紅葉の景色が楽しめるとのことです。散策の休憩に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。実際に地域で盛んに行われてきた民芸に触れよう!
豊田市民芸館では、実際にものづくりの魅力・地域の手仕事に触れられるように、さまざまな講座が開かれています。 こちらは、猿投古窯を復元した穴窯陶芸講座が行われている穴窯。猿投古窯とは、古墳〜平安時代、猿投山麓西南部で盛んに作られていた焼き物です。 こちらの穴窯は、平安時代に豊田市高崎町で使われていた古窯を当館に移築し、整備されたものだそう。内部は、火が回りやすいように階段上に形成されています。 薪で三日三晩火を焚き、じっくりと焼き上げる本格的な陶芸が体験できますよ! 工房では、ガス窯陶芸講座、絞り染め・藍染め講座、とんぼ(ガラス工芸)講座などの講座が開催されています。ぜひ、チェックしてみてくださいね。 ▼2024年度の民芸館講座の詳細はこちら https://www.mingeikan.toyota.aichi.jp/cms/wp-content/uploads/2024/02/豊田市民芸館講座2024年.pdf市内唯一!明治時代の洋風建築物 「旧井上家住宅西洋館」
「旧井上家住宅西洋館」は、明治時代に建築された建物です。名古屋市博覧会の迎賓館や銀行として使用された後、井上農場へ移築。農場では迎賓館や住居として使用されていました。1989年に豊田市民芸館へと移築され、2000年には国の登録有形文化財として登録されています。 外壁には、カブを連想させる窓枠が見られます。建物が銀行にも使われていたことから「株が上がる」という意味が込められているそうです。 また、屋根瓦に彫られている「水」という字は、火除けの意味が込められているそう。現代の建築物ではなかなか見られない面白い装飾が見られます。 民芸はもちろん、歴史ある建築物や四季折々の景色が楽しめる庭園が広がる豊田市民芸館。園内を散策しながら、美しい民芸に触れてみてはいかがでしょうか。 ※掲載情報は取材時のものになります。 最新情報は、対象施設・店舗の公式ホームぺージ等でご確認ください。SHOP DATA
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